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古都の朝は雪だった [趣味]

桐蔭席での茶会

「一生に一度の機会よ。」
というお茶の教室の先生のお誘いで、京都である茶会に行く事にした。教室の一番えらい先生の還暦祝いの席だった。8時から始まるらしいが、ねぼすけの私が朝の5時に起きて、きものを着て行けるはずがない。奮発して、前の晩にきものを着て、ホテルに泊まることにした。

朝身支度をしてからレストランに行き、茶席で点心が出るので、朝食は軽めにしようと洋食バイキングをいただいている時であった。窓を見ると、なんと雪がちらついているではないか。
これはいい、持って来いの雪だとばかり、本日の茶会がある場所までタクシーに乗り込んだ。ところが、ネットで手に入れた地図では、なかなかたどり着かない。いったん降りて、電話をかけて、訊ねた。すると、智積院の南ではなく北だということで、またテクテク歩いた。豊国廟の手前でその茶席があった。桐蔭席というのは、桐(きり)の紋に関係があったのかもしれない。

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入って、受付を済ますとすぐに待合に通された。そして、また別の部屋へ。いよいよ、お庭を通って、茶室入りだ。庭の木々にはうっすらと雪が積もっていて、なんとも風情がある。つくばいでの清め方は、前の方を見習ってやった。15名ほどが4畳ほどの空間に入るので、少し窮屈だが、親密な空気が流れる。東京から来られた方に、正客をやっていただいて、おもてなしが始まる。『春の雪』という叶匠寿庵製の主菓子が出る。ほんのりとした甘さで、中の紅の餡に求肥が混ざっていて、舌触りも絶妙だ。まもなく干菓子も現れ、あれあれと思っていると、お薄が一人ひとりに出された。濃茶が出ると思っていたのだが、お薄だけの茶席もあるそうだ。

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ご亭主のお話は、こういうお部屋だとよく聞こえる。半分くらいしか理解はできないが、面白い話もあった。まずお軸では、お家元に書いてもらったそうだが、文字は『看脚下』である。ご亭主は、「なかなか厳しいお言葉をいただいた。」とおっしゃっていた。なるほど、60歳にして、自分の足元を看よということか。ところで、足元とは何であろうか、その方にしか分からないことであるかも知れないし、力を付けたものは、自分の後継者を育てたかを看よということかも知れないなと思った。

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あと、テイゼンの銀杏で作ったという茶杓。銘は『玉馬』というが、銀杏の皮を削って中を高くし、櫂先を磨いてつやを出したものだ。竹の茶杓だと思っていた私は、銀杏の木でよくも作れるものだなと思った。

本席が終わり、いよいよ点心席である。ひそかに期待していたたん熊さんのお弁当である。ふたを取ると、なかなか美しく盛られている。ご酒がふるまわれ、生ま物からいただく。酢の物も炊き合わせもなかなか品のいいお味で、素材の味が生かせてある。さすが、たん熊さんだと思う一方、おなかになかなか入らない。それもそのはず、まだ10時半だもの。朝ごはんを食べて3時間もたっていない。ケースをいただいて、残りはお持ち帰りとする。

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何人来られるか分からないが、次々と部屋を空けないと、後の人が待たされることになる。記念品をいただいて、出ることにした。

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このような茶会では、お道具類も多く、なかなか名前と形が一致しない。一つでも心に残るものがあればいいとしよう。この日は、ご亭主のお話がよく聞こえ、お人柄もしのばれたので良かった。古都の雪も、興を添えてくれたし、満足だった。

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コメント 4

sakura

こんにちは、さくらです♪
貴重なお席に、前日から泊りがけで、その気合が伝わってきます。
雪の降る中、タクシーを降りられた後は大丈夫でしたか?

by sakura (2010-02-07 08:49) 

whitered

sakuraさんへ:おはようございます。はい、なんとかたどり着きました。その頃は、雪も止んでいました。初めての場所へ行くときは、一つのリサーチだけではだめなことが分かりました。
by whitered (2010-02-07 09:03) 

SAWA

なかなか行けない場所でのお茶会でしたね。
うらやましいです。
和服もお似合いですね♪

by SAWA (2010-02-08 17:28) 

whitered

SAWAさんへ:コメントありがとうございます。そうなんですよ。今度はいつ行けるか分かりませんので、思い切って行って良かったです。もう少し細かったらいいのですが。
by whitered (2010-02-08 21:00) 

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