味わい深い小説 [本]
心あたたまる時代小説
先日、高田郁(たかだかおる)の時代小説「銀二貫」を読み上げた。「澪つくし料理帖」シリーズは、四巻とも読み上げたので、「銀二貫」をすぐ本屋に行って購入した。
(過去記事 http://kimonodaisuki.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26)
これが良かった。
舞台は江戸時代の大阪天満、火事で全焼した天満宮の再建の願いを込めて寄進するはずの『銀二貫』を寒天商人の和助があだ討ちを買うのに使ってしまう。結局傷を負った武士は死んでしまうが、残された男の子は和助の店に引き取られ、商人としての道を歩む。
大阪商人の気概やおきて、何を大事にしてきたかが読んでいて、興味深い。利益追求一辺倒ではなく、地域の氏神に対する信仰や客の信頼、地道な努力を重ねていく粘り強さ。現代の企業が忘れているものがここにあるような気がする。目の前の利益のみを追求するものは、長続きしない。人を育て、人と人の信頼を育てて、はじめて商いが成り立つことを訴えていた。武士の身分や私恨を捨て、丁稚として生きていく松吉、銀二貫を惜しげもなく差し出した和助のほんわかとした人柄、そんなお人好しの主人を辛口でなじるが、支えていく姿勢を崩さない番頭の善次郎、思いがけない姿で再登場する料理屋のいとはんだった真帆。登場人物が生き生きとして、いとおしい。
あのあだ討ち買いで渡した銀二貫も、小説の終わりのほうでマジックを果たす。終わり方も素晴らしかった。
寒天についてのリサーチもかなり出来ていて、これを読んだ後、さっそく食べたくなって、羊羹を買いに行った。
高田郁は、素晴らしい書き手である。新しい小説が待ち遠しい。
先日、高田郁(たかだかおる)の時代小説「銀二貫」を読み上げた。「澪つくし料理帖」シリーズは、四巻とも読み上げたので、「銀二貫」をすぐ本屋に行って購入した。
(過去記事 http://kimonodaisuki.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26)
これが良かった。
舞台は江戸時代の大阪天満、火事で全焼した天満宮の再建の願いを込めて寄進するはずの『銀二貫』を寒天商人の和助があだ討ちを買うのに使ってしまう。結局傷を負った武士は死んでしまうが、残された男の子は和助の店に引き取られ、商人としての道を歩む。
大阪商人の気概やおきて、何を大事にしてきたかが読んでいて、興味深い。利益追求一辺倒ではなく、地域の氏神に対する信仰や客の信頼、地道な努力を重ねていく粘り強さ。現代の企業が忘れているものがここにあるような気がする。目の前の利益のみを追求するものは、長続きしない。人を育て、人と人の信頼を育てて、はじめて商いが成り立つことを訴えていた。武士の身分や私恨を捨て、丁稚として生きていく松吉、銀二貫を惜しげもなく差し出した和助のほんわかとした人柄、そんなお人好しの主人を辛口でなじるが、支えていく姿勢を崩さない番頭の善次郎、思いがけない姿で再登場する料理屋のいとはんだった真帆。登場人物が生き生きとして、いとおしい。
あのあだ討ち買いで渡した銀二貫も、小説の終わりのほうでマジックを果たす。終わり方も素晴らしかった。
寒天についてのリサーチもかなり出来ていて、これを読んだ後、さっそく食べたくなって、羊羹を買いに行った。
高田郁は、素晴らしい書き手である。新しい小説が待ち遠しい。
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