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「多読術」を読んで [本]

松岡正剛さんの「多読術」を読んで

 年末から読んでいた、ちくまプリマー新書の「多読術」をやっと読み上げた。わりと読みやすい本だったが、電車に乗っている時間に限っていたので、今までかかった。松岡正剛さんは、編集工学研究という独自の仕事をされている方で、名前は知っていたが、今回初めて著書を読んだ。
「多読術」なかなか魅力的な言葉だ。まず目次を引用してみよう。

第一章 多読・少読・広読・狭読
第二章 多様性を育てていく
第三章 読書の方法をさぐる
第四章 読書することは編集すること
第六章 キーブックを選ぶ
第七章 読書の未来

となっている。正剛さんが(本好き)になったきっかけは、お母様にクリスマスプレゼントとして「ノンちゃん雲に乗る」をもらったことだと書いてあった。私も母にプレゼントとして本をもらったことがあったが、私の場合は母に手伝いの報償としてもらった。たしか、アンデルセンの「即興詩人」だったと思う。たしか、正剛さんもアンデルセンの「絵のない絵本」も取り上げていたような気がする。

第六章まで読み進んで、私は読書ノートを作っていたことを思い出した。ずいぶん途切れている。高田郁の本など読むこと事態が面白くて、ついにノートに残さずじまいだった。第六章はとくに面白かったような気がする。正剛さんは、およそ三冊くらいを一度に読む(近い時期に)と書いていたが、三冊くらいのキーブックというのもあるようだ。キーブックというのは、その名のとおり、読書の中心になるような重要な本のことをいい、第六章には、たとえば日本の歴史や文化の世界観が列挙されているものに、宮本常一の「忘れられた日本人」、折口信夫の「古代研究」、網野義彦の「日本の歴史を読み直す」の三冊を挙げている。

その話を正月に帰ってきた娘と話をしていると、本棚をごそごそしていた娘が折口信夫の本以外の本を見つけてきて、テーブルの上に置き「これあったで、持って帰るわな。」だって。
私はびっくりして、「ええ~、あったの。」たぶん亡くなったつれあいが買って、書棚に放り込んでいたのだろうが、今更ながら自分が理想的な読書環境にあったのだと思い知らされる。
「ちゃんと返してよ。」と言いいながら、娘も本が好きで良かったと思ったことだ。

キーブックというのは、その本を読めば済むというものではなく、そこからさらに疑問が湧いたり、新しい問題を提起する性質を豊にはらんでいるという物だと思う。結果を重視するのでなく、限りない道を暗示する本なのだ。

そうそう、第七章では本のデジタル化にも触れていたが、それよりも読書をするときのサポートツールに言及しているところが面白かった。おおざっぱに言うと、辞書類、年表、地図はもとより歳時記、理科年表、人名事典、用語集、術後集があれば、かなりのサポートができるようだ。最近、私も読書のみならず、美術館に行ったときの思い出しをするときに年表や地図の必要性を感じるし、人名辞典があればなあと思うことがよくある。
この本にも分からない言葉がいっぱいあったので、また辞書を引きながら二度読みをしようと思う。

本日、松岡正剛さんの「知の編集工学」と「日本という方法」、宮本常一さんの「家郷の訓」と言う本を買って来た。


多読術 (ちくまプリマー新書)

多読術 (ちくまプリマー新書)

  • 作者: 松岡 正剛
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/04/08
  • メディア: 新書



知の編集工学 (朝日文庫)

知の編集工学 (朝日文庫)

  • 作者: 松岡 正剛
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2001/02
  • メディア: 文庫



日本という方法―おもかげ・うつろいの文化 (NHKブックス)

日本という方法―おもかげ・うつろいの文化 (NHKブックス)

  • 作者: 松岡 正剛
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本



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コメント 6

デザイン屋

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
by デザイン屋 (2011-01-05 11:24) 

whitered

デザイン屋さんへ:明けましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いします。
by whitered (2011-01-05 19:42) 

mwainfo

新しき年、あい変わらぬご健闘を期待いたします。
by mwainfo (2011-01-06 17:46) 

whitered

mwainfoさんへ:明けましておめでとうございます。mwainfoさんにとっても良い年でありますように。
by whitered (2011-01-08 08:28) 

参道漢

こちらこそ、ご返事頂き有難う御座います。それにしても、立派なブログでいつも関心しております。私のブログは、営業になってしまい、本来のブログとは違った目的のようで、なんだか気が引ける記事を書かなければならないのが、心苦しいのと、ブログに初心者でwhiteredさんのブログを紹介したいのですが、今やり方を研究中です。岩茶の内容については、易しい物と少し専門的な事も混ぜて書く様に心がけます。コメント有り難う御座いました。
by 参道漢 (2011-01-09 07:21) 

whitered

参道漢さんへ:丁寧なコメントをありがとうございました。お茶というものは、ちゃんと時間をかけて入れてあげると美味しいですが、時間のないときなどちゃっちゃっと入れてしまうと、全然味わいのないものになってしまいますね。最近はそれを実感しています。それから、岩茶といわゆる烏龍茶の違いがもう一つよく解かりません。機会がありましたら、また教えてくださいね。
by whitered (2011-01-09 10:05) 

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