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本「女歌の系譜」 [本]

久々の本の記事

 2週間借りれる市の図書館の本、同じ本を返しては借りたので、8週目にやっと読み終えることができた。
馬場あき子著の「女歌の系譜」という本で、私にとっては難解な本の部類に入る。
今までだったら読めそうにない本は、すぐ返してしまうというパターンだったが、少しは根気が出てきたか。
『女歌』おんなうたと読むらしいが、万葉集の額田王から室町時代の永福門院ショウ子(金ヘンに章と書く)まで、およそ700年くらいの間の女流歌人の和歌についてが述べられている。

私は自分では短歌はあまり作れないが、百人一首は昔から好きで、最近は和歌の本を読むのが好きになっている。
この本を読み始めて、馬場あき子さんはなんと文章の上手い人で、表現力のある人かと思うようになってきた。その魅力で、8週間も読みすすめることが出来たのだと思う。
この手の本を読むときには、和歌や長歌をいちいち解釈しながらでないと、前にすすめない。いつもいつも作者が解釈してくれる訳ではない。ときには、閉口して本を閉じてしまうこともある。
どんな人が本に登場するかというと、

 1、額田王~女時(めどき)の韻律~
 2、大伴坂上郎女~女歌の領域~
 3、小野小町~放浪幻想~
 4、伊勢~女の晴れ歌~
 5、小侍従~<艶>の心意気~
 6、建礼門院右京太夫~悲歌の風景~
 7、俊成卿女~醒めたる<艶>~
 8、宮内卿~夭折の哀歌~
 9、永福門院ショウシ~無明の世に咲く~

和泉式部と式子内親王については、馬場あき子さんは以前に本にしているとのことで、省かれたそうだ。
興味を持って読んだのは、伊勢・俊成卿女・宮内卿・永福門院ショウシあたりであろうか。
伊勢については、かなり奔放な人だったらしいが、紫式部をはじめ、多くの平安女性が手本にした方だそうだ。俊成卿女と宮内卿は、新古今集時代の後鳥羽院の歌壇でともに大活躍したライバル同士で、かたや長寿をまっとうし、かたや20代そこそこで夭折してしまう才女だ。
室町時代の永福門院ショウシも私自身あまり知らなかったこともあり、興味をもった。

万葉集以来の日本の抒情をうたった「ますらおぶり」と「たおやめぶり」。二大文体の片方を担ってきた「女歌」には、いろんな役割があった。儀礼を盛り上げ、大王をたたえるための賛歌であったり、神に祈り「乞う」ための歌であったり、「恋」を表現するための相聞歌であったりした。
そんなに頻繁に遠出したり出来なかった時代でもある。文机のかたわらに古今の冊子や文庫を引き寄せて、うす暗い灯かりの下での創作には、なにかしらけなげな熱意を感じる。
そして、解かったことは、男たちが表舞台で政争に明け暮れている間に、ただじっと耐え忍んでいただけでなく、ちゃんと身の回りの男たちに物申している女たちもたくさんいたということである。

すごく面白かったので、いずれ購入しようと思っている。
また、さいごのあたりで後深草院二条が書いた「とはずがたり」に触れてあった。最近、本屋で見つけたので手に入れ、読み始めているが、これがまたすごい本で女房日記というジャンルに属するが、事実にもとづいた散文なのでちがった面白さがある。


女歌の系譜 (朝日選書)

女歌の系譜 (朝日選書)

  • 作者: 馬場 あき子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 単行本



式子内親王 (講談社文庫)

式子内親王 (講談社文庫)

  • 作者: 馬場 あき子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1979/07
  • メディア: 文庫



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