二つの源氏物語 [本]
今に通じる『源氏物語』
小6の頃に『源氏物語』のジュニア版を読んだことがあるのだが、夏前から瀬戸内寂聴版『源氏物語』を読み始めている。毎年(三年前から)『きもの文化検定』を受けていて、いよいよ今年は一級の試験があるのだが、その課題の一つに寂聴版の『源氏物語』の(桐壺)を読むようにというのがあった。早速、読み始めるとこれが面白い。
(桐壺)というのは、桐壺帝と桐壺の更衣の間に生まれた光源氏の幼少時代と十二歳で元服する間のプロローグ場面なので、文庫本の44ページ分しかないのだが、ここで止めるわけにはいかない。千年以上も前の物語とは思えない人情の機微が、そこここに散りばめてある。光源氏もその他の登場人物も躍動的な人間性を帯びている。第一巻は、(桐壺)(帚木)(空蝉)(夕顔)(若紫)であるが、面白かったのは、(空蝉)はなぜ、そういう名で呼ばれたのかというと、ある夜光源氏が人妻である女性の寝所に忍び入って、思いを遂げようとするが、衣装は空っぽであった。そのことから、名前が由来したのだ。(若紫)は、昔から私が感情移入してきた紫の上が登場する。第二巻は、(末摘花)(紅葉賀)(花宴)(葵)(賢木)(花散里)の六帖。第五巻までの三十三帖を一気に読んでしまった。人と人が織り成す感情のやりとり、自分への言い聞かせや言い訳がじつに細やかで、おかしかったり、感心したりする。現代の小説でもこれだけ人間の感情を分析して、細やかに書いたものはそんなにないと思う。
そんな折りに、友だちが村山リウさんの『源氏物語』講義のCDを貸してくれた。桐壺だけで、CDが五巻もあり、54帖分でなんと205巻もある。村山リウさんの講義は始めて聴くが、非常に面白い。声はガラッパチに近いが、少しずつ原文を読みながら、ユーモアを交えながら解釈をしてくれる。源氏物語を読む時の、基本的なスタンスを教えてくれる。一巻目にこんなことを言っておられた。『源氏物語』には、当時の常識がある。身分の高い者は、それだけ愛情も多く受けて当然だという常識が。そして、紫式部にはそれだけではなくて美しさや心栄えや芸術性の高い人が愛情を受けるという考えがある。それから、あなた方(視聴者)は、どう思うのかという三つの考えを念頭に置いておかなければいけない。私は、なるほどなと思った。当時の常識と紫式部の考えと自分の考え、その三つがないと『源氏物語』の世界を理解することは、不可能だろうと思った。ただし、そのことはほんの足がかりに過ぎないのだけれど。『きもの文化検定』の事前学習がおもわぬ方に発展してしまったが、時間があるかぎり、読み進めてみたいし、村山さんの講義も聞いてみたい。
小6の頃に『源氏物語』のジュニア版を読んだことがあるのだが、夏前から瀬戸内寂聴版『源氏物語』を読み始めている。毎年(三年前から)『きもの文化検定』を受けていて、いよいよ今年は一級の試験があるのだが、その課題の一つに寂聴版の『源氏物語』の(桐壺)を読むようにというのがあった。早速、読み始めるとこれが面白い。
(桐壺)というのは、桐壺帝と桐壺の更衣の間に生まれた光源氏の幼少時代と十二歳で元服する間のプロローグ場面なので、文庫本の44ページ分しかないのだが、ここで止めるわけにはいかない。千年以上も前の物語とは思えない人情の機微が、そこここに散りばめてある。光源氏もその他の登場人物も躍動的な人間性を帯びている。第一巻は、(桐壺)(帚木)(空蝉)(夕顔)(若紫)であるが、面白かったのは、(空蝉)はなぜ、そういう名で呼ばれたのかというと、ある夜光源氏が人妻である女性の寝所に忍び入って、思いを遂げようとするが、衣装は空っぽであった。そのことから、名前が由来したのだ。(若紫)は、昔から私が感情移入してきた紫の上が登場する。第二巻は、(末摘花)(紅葉賀)(花宴)(葵)(賢木)(花散里)の六帖。第五巻までの三十三帖を一気に読んでしまった。人と人が織り成す感情のやりとり、自分への言い聞かせや言い訳がじつに細やかで、おかしかったり、感心したりする。現代の小説でもこれだけ人間の感情を分析して、細やかに書いたものはそんなにないと思う。
そんな折りに、友だちが村山リウさんの『源氏物語』講義のCDを貸してくれた。桐壺だけで、CDが五巻もあり、54帖分でなんと205巻もある。村山リウさんの講義は始めて聴くが、非常に面白い。声はガラッパチに近いが、少しずつ原文を読みながら、ユーモアを交えながら解釈をしてくれる。源氏物語を読む時の、基本的なスタンスを教えてくれる。一巻目にこんなことを言っておられた。『源氏物語』には、当時の常識がある。身分の高い者は、それだけ愛情も多く受けて当然だという常識が。そして、紫式部にはそれだけではなくて美しさや心栄えや芸術性の高い人が愛情を受けるという考えがある。それから、あなた方(視聴者)は、どう思うのかという三つの考えを念頭に置いておかなければいけない。私は、なるほどなと思った。当時の常識と紫式部の考えと自分の考え、その三つがないと『源氏物語』の世界を理解することは、不可能だろうと思った。ただし、そのことはほんの足がかりに過ぎないのだけれど。『きもの文化検定』の事前学習がおもわぬ方に発展してしまったが、時間があるかぎり、読み進めてみたいし、村山さんの講義も聞いてみたい。
こんばんわ。
源氏物語(現代版。。)はいつか読みたいと思いながら、未読です。
林真理子版が出るとか読んだような気が。。もしそうなら、それから始めるかも知れません。
by tamaiichi (2009-10-09 00:52)
一気に三十三帖まで読まれたのですね。それだけ引き込まれる内容だと
いうことですね。引き続き楽しみながらじっくり読まれまた上で感想を教えて下さいね~☆
by アマデウス (2009-10-09 07:28)
tamaiichiさんへ:コメントありがとうございます。じつに多くの作家が、訳しておられますよね。与謝野晶子、田辺聖子、円地文子などなど。自分の好きな作家の訳から読んでみるのもいいかもしれませんね。
by whitered (2009-10-09 07:42)
アマデウスさんへ:一気に読んでしまうのが、もったいないくらい面白いですよ。微妙な感情が言葉に置き換えてあるのは、さすが人気作家だと思います。きもの文化検定のテストが終わったら、再開します。
by whitered (2009-10-09 07:44)
きもの文化検定1級に挑戦ですか!!
凄いですね~
合格間違い無しです(゜∇^d) グッ!!
by SAWA (2009-10-09 16:31)
SAWAさんへ:コメントありがとうございます。今度ばかりは、落ちるかもしれません。模試をやってみると、半分くらいしか分からなかったので。後は山かけのみですね。
by whitered (2009-10-09 16:46)
まいどです。
源氏物語、面白いですよね!
私は、谷崎氏の源氏物語と、瀬戸内氏の源氏物語を読みましたが、
瀬戸内氏のほうは、主語がはっきり書いてあるので、読みやすかったと思いました(ちょっと下世話な感じもしますが。汗)。
それで、「3つのこと」は、いつも思います。身分が高く生まれることは、そういう因果応報があるからで、徳の高い人だとあがめられていたとは確かだと思いますが、
それでも、人は、人を愛してしまうところ、小さな心の動きも見逃さずに書いているところが、本当にすごいなあ・・・
と思ってしまいます。
by koji (2009-10-12 15:10)
kojiさんへ:こちらにもコメントしていただいてありがとうございます。いったい何人の作家が現代語訳されているのでしょうね。それだけでも、『源氏物語』が千年以上も愛読されてきた訳が分かります。いろんなタイプ、いろんな性格、いろんな立場の女性が登場するのが面白く、あっきっとこれ私に近いなと客観的になってしまいます。瀬戸内さんは、大衆小説の妙手なので、解かりやすく親切な書き下しをしておられますね。
by whitered (2009-10-12 17:52)