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読書の秋 [本]

みをつくし料理帖シリーズ

 先輩の方から、勧められて読み始めた高田郁(たかだかおる)のみをつくし料理帖シリーズの時代小説。たまたま本屋で眼に入ったのが、最新刊の『今朝の春』だった。いっきに読んでしまって、友だちに貸したので手元にはない。


今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)

今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)

  • 作者: 高田 郁
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2010/09
  • メディア: 文庫



大坂の天満一兆庵に奉公にあがった澪は、まもなく料理屋が火事に見舞われ、主人夫妻とともに江戸に主人の息子が出している料理屋にたよってくる。天満一兆庵の江戸支店ともいうべき料理屋は、すでに借金で人出に渡っていて、息子の佐兵衛も行く方知れずになっていた。主の嘉兵衛は、ショックで江戸の宿で命を落としてしまう。澪はご寮さんの芳とともに江戸のつる家で働くことになる。

第四巻目の『今朝の春』は、以下四つの短編から構成されており、それぞれが前後とのつながりを持つ。第一話は、「花嫁御寮」つる家の懇意にしている商家の娘が、大奥にあがる話があり、包丁の持ち方を澪が教えることになる。娘は娘で自分が慕う医者の息子に嫁ぐために大奥でハクをつけておきたいという目論見がからむ。そして・・・。
第二話は、「友待つ雪」澪の幼馴染、野江が吉原の苦界にいるが、どうやら戯作者があさひ太夫の出生について嗅ぎまわっているらしい。友だちをそっとしておいてやりたい澪は、戯作者に持ちかける。戯作者の好物を使って、うならすような料理を作れば、友の話を戯作に書くことを止めてくれるかと。
第三話は、「寒紅」つる家で働いているおりょうの亭主伊佐三に、若い愛人ができたらしいという。二人には太一という口が聞けない子どもがいる。新宿で泊りがけで働いている伊佐三の本当の胸のうちは?
第四話は、「今朝の春」いよいよ澪は、江戸一番といわれる登龍楼と料理の競い合いをすることになる。材料は寒鰆で、年末の数日間で料理を完成させないといけない。つる家のためにも、友のためにも勝ちたいのだが・・・。

といった内容であった。料理が題材になっており、年若い澪が失敗に失敗を重ねながら、どういう料理を目指していくのか、なかなか興味深い。陰ながら支えてくれる多くの人たち。また、いやというほど浮世の厳しさを見せ付けられることも。大きな夢をはぐくみながら、目の前の小さな事件に立ち向かう澪、物語の構成もなかなか見事で飽きさせない。

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おととい、天王寺に出た時に、本屋に立ち寄って、1~3巻を買った。順序が前後するが、また読みすすめるのが楽しみだ。
それから各冊の巻末に、「澪の料理帖」というのが付いていて、物語に出てくる料理の作り方が書いてある。読んでいる最中に、これ食べてみたいなあと思わせる料理があるので、なかなか親切なことだ。江戸と大坂の味付けの違いなども、物語にでてくるが、なるほどと思える箇所がいくつかあった。たとえば、1巻目に大坂では昆布を多く使うが、江戸では鰹で出汁をとることが多いとか、薄口醤油と濃い口醤油の違いなどである。

読みたい本が、いつも傍らにあるというのは、贅沢な心地がする。




八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)

  • 作者: 高田 郁
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2009/05
  • メディア: 文庫



花散らしの雨 みをつくし料理帖

花散らしの雨 みをつくし料理帖

  • 作者: 高田 郁
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2009/10
  • メディア: 文庫



想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)

想い雲―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)

  • 作者: 高田 郁
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 文庫



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コメント 2

アマデウス

興味深い時代小説をお読みですね☆
読書と食の秋を同時に楽しめるわけですね☆
《読みたい本が、いつも傍らにあるというのは、贅沢な心地がする。》同感です☆
by アマデウス (2010-10-28 08:04) 

whitered

アマデウスさんへ:コメントありがとうございます。そうなんです。読んでいると食べたくなったりするんですよ。テレビを見る時間を減らして、読もうと思っています。
by whitered (2010-10-28 08:36) 

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