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古袱紗について [趣味]

裂地の楽しみ

二月の雪の日の茶会の事を以前に書いたが、後日引き出物として「古袱紗」をいただいた。人数が多かったので、縫製が間に合わなかったということだ。
思いがけなかったので、非常に嬉しかった。
今日は、「古袱紗」について、書いてみよう。
お茶の稽古では、点前用の袱紗はよく使うが、まだ濃茶を習う段階には至っていないので、「古袱紗」を使ったのは、お茶碗飾り、棗飾りを習ったときの数回である。その頃購入したものもある。
また、茶席の客として、濃茶をいただく時に、一度だけ使ったように思う。

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さていただいた「古袱紗」は、裂地の名称を『名物伊予簾純子』(めいぶついよすだれどんす)と言うらしい。
「純子」は「緞子」とおなじく(どんす)と読むそうだ。「鈍」の字ではぐあいが悪いからであろうか?お茶の世界では、清く純なものが尊とばれる。手持ちの本で、調べてみたら、『名物伊予簾純子』があった。
十三色の色糸で縞模様を織り出し、こまかい石畳の合間に、宝尽くしの模様が織り込まれた、手の込んだ織物だ。別名を『石畳緞子』というが、小堀遠州が所持した茶入れ『伊予簾』の仕覆に用いたので、この名称が裂地の名称になったそうだ。

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名物裂の種類は、おおまかに分けて、緞子・金襴・間道・その他となる。いただいた『名物伊予簾純子』は、緞子(どんす)の仲間であり、たて5枚繻子地によこ5枚綾で模様を織ったものだ。手触りが柔らかいのが特徴だ。

以前に京都で求めた「古袱紗」に『ほととぎす』の茶花を織り込んだものがある。習いたての頃に、一枚は持っておこうと買ったのがこれだ。色合いが良く、珍しい柄なので、愛用できると思った。しかし、中に入っていた紙に「神無月 茶花」と書いてあったので、ひょっとすれば季節を選んでしまうかなと思った。この裂地の種類も、たぶん「緞子」であろう。

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次に阿部野橋のデパートで求めたのが、これ。裂地の中で「太子間道」の「古袱紗」が展示してあったので、買ったものだ。「太子間道」の「太子」は聖徳太子遺愛の『太子広東』から来ているという説と、桃山時代の堺商人であった太子屋宗有が愛好していたという説がある。また、一般に縞模様のことを「間道」というが、こちらは縦がすりの幾何学模様である。上代染織では、「広東錦」と呼ばれていたので、「太子カントン」が「太子カンドウ」になったらしいということが、ものの本には書いてあった。

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裂地は、「古袱紗」に使われたり、茶入れの仕覆に使われたりするほか、床掛け物の表具に使われたりする。まだまだ使われているものがあるだろう。私がいいな~と思うのは、裂地に種類や織り方があるのと、一つひとつに言われ(エピソード)があるのが、なんだかとてもいい。先人たちが、急に身近な人々になっていくようだ。私も多くはなくていいから、こういった裂地を愛でて、大切にしたいと思っている。


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コメント 4

Ranger

凄いキレイな柄
改めて『和』の彩色、配色の素晴らしさを感じます。
Rangerも、欲しくなりました。!
by Ranger (2010-03-06 10:22) 

whitered

Rangerさんへ:布は、改めて見ると、本当に細やかで美しい模様が織られています。しかも、多くの織り方や糸の撚り方の工夫があるのは、日本くらいのものではないでしょうか。誰だって欲しくなりますよね!
by whitered (2010-03-06 23:11) 

y-ma2-koubou

格式のある文様として、名物裂の帯、留袖、訪問着などがありますが、
洗練された文様と色・・・ほんとうに堪りませんね^^
日本は、世界に誇れる宝物を一杯持っていますよね♪
by y-ma2-koubou (2010-03-09 23:33) 

whitered

y-ma2-koubouさんへ:コメントありがとうございます。その模様の一つひとつに名前があるのを知って、益々きものの歴史やいわれに興味を持つようになりました。日本の衣服の種類の多様さはおそらく世界一でしょうね。
by whitered (2010-03-10 17:51) 

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