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眠れない夜 [日記]

落ち込んだ夜の贈り物

 おととい、中学校の同級生から電話がかかってきた。
久しぶりの同窓会に関する電話だったが、田舎なまりが懐かしかった半面、悲しい事実も教えてくれた。
何人かの同級生が亡くなったということで、その中に当時の近所のMちゃんがいたことだ。
Mちゃんはやんちゃ坊主だったが、訳があったのか、おばあさんと暮らしていて、よくお手伝いをする感心な男の子だった。
肝試しとか、蛍取り、年末の夜回りなどに参加すると、いつもその子がいた。
やんちゃなその子が中学生になると、水泳クラブに入った。背もすらりと高くなり、きれいに平泳ぎをする姿を見て、なんだかさなぎが蝶になったようなまぶしさを感じたものだった。

その夜、韓国ドラマの「赤と黒」の最終回を観た。交通事故に会った主人公が命を取りとめ、これから幸せになろうかというときに、妹(本人は知らない想定)が落ちていたピストルで兄を撃ってしまう。おそらく妹をかばうためにだろうが、病院にも行かず、姿を消すという結末だった。
なんだか、ちょっとがっかりした。復讐に心を燃やしていたが、相手が自分の家族だと分かって、動揺したのは解るが、何も死んでしまうことはないのではと割り切れなかった。

その晩、次元の異なる二つのことが頭から離れなくて、眠れなかった。
そばにあったラジオを聴いて、時間をつぶすことにした。
どこでもいいから、きれいに聞こえる周波数を探した。
すると、午前1時ころからFM KISSでピンク・フロイド特集をやっていた。
いいぞ、天の助けだと耳を澄ませた。
私は、ピンク・フロイドはLP時代に買った「原子心母」(原題 ATOM HEART MOTHER)と「雲の影」しか持っていない。けれど、「原子心母」は、繰り返し繰り返し聴いていた。
「原子心母」はたぶん、自分が買ったアルバムの中では、一番か二番に挙げられるだろう。
もう一枚はジャニス・ジョプリンの「パール」か浅川マキの「MAKI」だろうか。
プログレッシブ・ロックという分野があるというのも初めて知った。 
給料をもらって、初めて買ったステレオで聴くと、「原子心母」の中でオートバイの音が左から右へ駆け抜けるのがシビレた。
放送の解説をしていたのは、立川直樹という人だったが、自分が言葉にできないような説明や当時の評判を話していた。ピンク・フロイドで一番世界で売れたのは、「狂気」というアルバムだったそうだが、日本で一番支持されたのは「原子心母」だったそうだ。
いよいよ、「原子心母」が始まる。シンセサイザーの微妙な美しい旋律に入っていく。爆発音があり、かき乱されるようなざわめき立つ音の一群、そしてまた秩序のある泣きそうなくらいの透明感のある旋律。解説によれば、オペラ歌手を連れてきて、自由にスキャットをさせたとか。
ピンク・フロイドは、ロックとクラシックの橋渡しをしたグループだと立川さんが言っていたが、本当に言い得て妙だ。
おかげで私はいつの間にか、特集が終わるまでには、夢の中に入ることができた。


原子心母

原子心母

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN
  • 発売日: 2011/09/28
  • メディア: CD



狂気

狂気

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMI MUSIC JAPAN
  • 発売日: 2011/09/28
  • メディア: CD



パール

パール

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2004/08/04
  • メディア: CD



浅川マキの世界(紙ジャケット仕様)

浅川マキの世界(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
  • 発売日: 2011/01/19
  • メディア: CD



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