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瀬戸内スタディーツァー (三) [旅行]

反原発の島 祝島へ

 さて、瀬戸内スタディーツァーの二日目の午後から、山口県に移動し、柳井港から高速船で祝島に行った。
この島は、29年前に上関に原発建設の計画が持ち上がったときに、ほとんどの島民が建設反対に立ち上がったことで有名である。

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人口500人ほどの祝島の雰囲気は、行きしなの乗客からも感じることができた。何人かの女性の乗客は祝島の方で柳井まで用事で行った帰りだとおっしゃていた。私たちが上関原発予定地を探していると、「あそこじゃけん。あの黄色い屋根のあるところが監視小屋だ。」と教えてくれた。きさくで、エネルギッシュな方たちで、今年は四年に一度の『神舞』(かんまい)がある年だということも教えてくれた。

港では、若い人たちが手漕ぎ船に乗って、太鼓を打ちながら何かの動作をしているのが見えた。

夕方5時頃に宿に着いた私たちは、夕飯まで港を散策しながら、6時には閉店するという『えびす屋』さんに行って買い物をする。島の中は、港町特有の狭い路地があり、沖縄で見るような石垣を積んだ塀や壁があちこちに見られた。

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夕飯後、『上関原発を建てさせない祝島島民の会』代表の方が来られて、2時間ほどお話をしていただいた。

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見ての通り、祝島はとてもきれいな島できれいな海に囲まれていて、ほとんどの人が海に関係した仕事をやっている。また、古代から脈々と信仰や独自の文化が残っている。それが目と鼻の先にある、ちょうど朝日が昇ってくる方向に原発が建てられる計画が持ち上がったことは、なんという愚かなことかとみんなが反対した。
29年間、運動を続けていくことは、並大抵ではなく、今や反対運動が生活の一部になっている。毎週月曜日の島内デモは、みんなの意志確認の場となっている。デモは1000回を超え、ギネス記録になろうかという勢いだ。スラップ訴訟といって、あの手この手で中国電力は、島民に嫌がらせをするための訴訟で起こしている。しかし、反対に中国電力に対しても、逆に訴え出ている。

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私たちの願いは、こんなふうにして島の生活をおびやかす原発建設に対して、島民あげて闘っている現実を知ってほしいということだ。さらに、訴訟などで経済的にも援助がほしい。
と話された。

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次の日は、島内巡りだ。早朝、同じ部屋の三人で、ここらで有名な棚田を見に行こうとしたが、山道で虻がうようよとたかってきたので挫折した。
もどって、自転車を借りて、反対側を冒険に行くことにした。

三人の中で、Gさんは島の方とすれ違うたびに声をかける。『祝島(ほうりのしま)』(監督 纐纈あや)のDVDの中に登場する島の人と、道ですれ違うからだ。

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自転車で西の方に行って、とうとう行き止まりまで行った。向こうには小祝島という離島が見えた。

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島には、農園があり、豚が飼われている。

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その農園の方にも会ったし、島の人気者の女漁師Tさんにも会えた。写真の真ん中の人だ。豚は島の人に可愛がられていて、Tさんも野菜を投げてあげておられた。

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この日は8月10日、あと6日で4年に一度の神舞(かんまい)が催される。
神舞の起こりはこうだ。
今から、1000年以上も前に大分の人々が石清水八幡宮の分霊を奉持し、海路下向中に嵐に会い、この祝島の港に漂着した。島には三軒の民家があり、苦しい生活の中でも漂着した人々を手厚くもてなした。これを機縁に荒神と大歳御歳の神を祭り、農耕を始めたという。毎年大分の伊美別宮社にお礼参りをしているが、4年に一度は大分の方から二十名の神職・里楽師が船でやってきてお迎えし、合同祭事を行うようになった。

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大漁旗で飾った奉迎船や櫂伝馬船が音曲とともに、神様船を迎えたり、送り出したりするさまは、なかなか勇壮なものだそうで、この時ばかりは島の人口が500人から一挙に3000人に膨れ上がるそうだ。

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また、瀬戸内海は古代から交通の要所になっていて、万葉集にも祝島をうたう和歌がある。

万葉集巻15 遣新羅使人 「家人は 帰り早来と 祝島 斎い待つらむ 旅行くわれを」
              (いえびとは かえりはやこと いわいじま いわいまつらん たびゆくわれを)
 同               「草枕 旅行く人を 祝島 幾代経るまで 斎ひ来にけむ」
              (くさまくら たびゆくひとを いわいじま いくよふるたび いわいきにけむ)

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歌の意味は、朝鮮半島までの長い旅をこの島で祈願して、無事に帰れることを祈っているのだろう。
そういう意味では、このハート型をした小さい島は、世情にも国際的にも大きく影響を受け続ける島なんだなと思った。
祝島・・・不思議な明るさと神秘さと土着の匂いが色濃い島だった。
早く、原発建設計画が白紙撤回となって、本当の平安をもたらせてほしいものだ。 
 






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